沖縄対話プロジェクトからのメッセージーー1年の活動を通して確認できたこと

総括集会で取りまとめた過去1年の活動で確認できたことをメッセージ
にまとめました。このメッセージをプロジェクト期間が正式に終わる2月末
までに様々な形で発信していくことになります。


沖縄対話プロジェクトからのメッセージーー1年の活動を通して確認できたこと
2024年1月21日

「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト
1、「対話」の実践によって、「対話」の重要性を確認できた。台湾の人たち、大陸の人たちとの直接の対話は、平和への希望の一灯となった。保守―革新、シニアー若い世代の対話の端緒を開いた。
私たちは、これからもあらゆる局面、あらゆる層で対話の大切さを共有し、拡大していきたいと考える。また対話を国家の指導者に期待するだけではなく、市民として、国境を越えた交流・対話を広く深く進めていきたいと考える。
2,沖縄を含む南西諸島も、また台湾も、たくさんの人びとが生き、幼い子どもからお年寄りまで日々暮らしを営んでいる、歴史、文化の豊かなところである。
私たちは、この人間の生きている島々を、軍事戦略的な観点で見てはならないと考える。この島々を(日米の)軍事拠点、攻撃拠点にしてはならないし、二度と「捨て石」にしてはならない。
3,この1年の変化で、短期的にいわゆる「台湾有事」(台湾をめぐる武力衝突)は起きそうにない。この地域のどの国もどの国民も、武力衝突、戦争を望んでいない。危機の背景には米中の対立があることは明らかで、米中双方は緊張を高める行動の応酬を避けるべきだと考える。私たちは、米中、日中の間の継続した、真剣な対話、外交を求める。
4,米国も日本も、中国との国交正常化の過程で約束した「一つの中国」政策を守ることが、この地域の平和にとって重要である。とりわけ日本は、日中共同声明、日中平和友好条約など、日中間の基盤といえる4つの文書を再確認し、遵守すべきである。
5,「両岸」(大陸と台湾)の関係については、私たちは「両岸」に任せる以外にないと考える。「両岸」の対話に期待する。
6,軍事的には対立の地域と思われている沖縄、台湾、大陸を含む東アジアは、視点を変えれば、世界でもっとも経済的な交流が盛んで、もっとも豊かになる可能性がある地域である。私たちは、この視点を忘れず、危機を機会(チャンス)に代えていく努力をすべきだと考える。
7,私たちは、沖縄県の「地域外交」は、東アジアの平和を促進する大切な働きと考える。強く支持するとともに、市民として応援し、支えていきたい。
8,いかなる意味においても、戦争は答えではない。戦争は何も解決しない。私たちは、戦争を拒否する。

なお、対話プロジェクトのシンポジウムの中で以下のような議論もあったことを付記する。
1, 中国に対して、外交とともに「備え」が必要だという意見があった。いわゆる「抑止力」の必要性を含む考えである。抑止力をどう捉えるか、私たちはここでは結論を出さず、対話のテーマとして継続的に議論していきたいと考える。
2, いわゆる「台湾有事」について、「中国の統一政策による武力侵攻」か、「米国の中国弱体化政策に基づく挑発」かという議論があった。大陸の台湾統一政策の基本は平和統一であり、「台湾有事」論は米国エリート、軍のパワー中心の発想であるという意見もあった。 ここでは、どちらが問題かというより、相互の応酬を抑え、武力の使用、戦争の回避こそが大事であるとした。
3, 東アジアに、かつての「6者協議」のような、あるいはASEANのような地域安全保障システムを構築したらどうかという意見があった。しかし大陸は「両岸」問題の国際化を明確に拒否している。ここでは、両岸のことは両岸に任せ、その対話に期待するというに留めた。
4, 対話プロジェクトに対して、いわば「場外」から、メディア、SNSの中に、「親中国」という決めつけ、レッテル貼りがあった。それは「台湾有事」を起こさせないというテーマとは何の関係もないと私たちは考える。私たちは「台湾有事」を起こさせないためには、大陸とも米国とも、いかなる人とも対話していきたいと考えている。