さまざまな対話の回路を持つ 高嶺朝一

さまざまな対話の回路を持つ

高嶺朝一
沖縄対話プロジェクト呼びかけ人
(元琉球新報社長)

岡本厚さんと谷山博史さんに声をかけていただいて、呼び掛け人に名前を連ね、シンポで私の出番までつくっていただき、関係者、裏方として支えていただいたみなさんに感謝しています。「対話プロジェクト」は私にとって刺激的で、触発されることが多かったと思います。このプロジェクトでまかれた種はいろいろなところで育ち、広がっていくでしょう。
成り行き上、政治、軍事的なテーマになりましたが、支持基盤、世代の違い、また職業、専門分野などを超えてフリースタイルで論議したのが良かったと思います。さまざまな「対話の回路」を持つことが争いの回避に必要です。
台湾海峡を巡る問題と琉球弧を中心とする日本の軍事化は、ワシントンと東京の政治に原因があって、沖縄はもちろん台湾、中国にも責任はないでしょう。ワシントンの側につくか、北京につくかという話ではない、と思います。
安全保障、地政学、地経学はワシントン、北京、東京、台北で考えるのと奄美を含む琉球弧の島々で考えるのとでは違います。
軍事化(militarization)は「ある地域に軍事力を持ち込むこと」であり、「軍事化は国内の安定にも対外的な平穏にも寄与しなかった」「地域の軍事化が激しくなると、地域住民が抑圧される危険性が高まる」(ケンブリッジ辞書)とされています。いま私たちの身のまわりで起こっていることです。琉球弧の非軍事化宣言、非武装宣言の機運が高まってくることを期待しています。